表+裏(内+外)のある平面作品は成り立つだろうか?
キャンバス上に絵具を塗るという単なる表面的作業ではなく、表と裏、内なる核から外皮という輪郭へ厚みのある作品を創ることにより自身の内なる存在意識の表現を試みる。
外皮に包まれた絶対的な真理の核心がゆっくりと膨張し始める。静寂の中に、堅く沈黙し続ける終わりのない生命。確固とした内なる存在は決して外に現れることなく、力強く脈打ち続ける。それに反してその場に留まることの出来ない揺れ動く表の意識。
麻布や麻紐を編みこむ行為は私の不確実な感情や思考の表現であり、重なるヒダは私の精神のヒダと同化する。
座標と定着
私の両目は閉ざされていて、手探りで何かを掴もうとしている。掴み切れない自己を縛りあげ、画面に定着させようと試みる。
私を縛る紐は私から自由を奪いとる。しかし私を有るべきところ(座標)にとどめる守りとなる。
己の存在が不愉快な力で在るべき位置からずれ落ちている。戻そうと必死になるが、過去の場所には戻せない。
自己の存在、そして他者の存在
それは対極にあって相反する存在でもあり、互いに引き合う存在でもある。私は絶対的存在を認めている。しかし、私自身の存在の絶対性も信じている。この認識は大きな喜びと苦しみを私に与える。
私(肉の臓物+感情+思想+精神)と外界とを隔てる外皮(輪郭)。私は宇宙の只中に彷徨っていて、私以外のものはすべてが宇宙となる。
十字架
焼くことにより、不必要な俗物を削除し、自己の存在の根源を探り当てようと試みる。
己の十字架をどこかに磔け、火で焼いて、私は自由になろうとするが、それは消えることなくいつも私の上に重く圧し掛かる。その重さに私は潰される。
尊き生命
尊き生命は打ち抜かれ、宇宙へと砕け散る。命を打ち抜いた釘は、錆付き、腐り影をも残さない。しかし、砕け散った破片は今一度集められ、大いなる生命として再生する。
具象画+抽象画
私のなかにある不十分な理解のための抽象的存在を具現化しようと試みる。私は常に具象画を目指している。
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